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神崎蘭子の王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフグリモワール

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クックック、我が名は神崎蘭子…闇に飲まれよ!

(神崎蘭子です!お疲れ様です!)

今宵は再びグリモワールを紡ぐことになったわ。再びこのような機会が訪れたこと、皆に感謝するわ。

(今回また観戦記を書くことになりました!みんなのおかげです。ありがとう!)

舞台は第65期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフ…魔王と芸術家の決戦の軌跡を刻むわ…!

(第65期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフの羽生名人と久保九段の将棋を書きます!)

 

第65期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフ
先手:久保九段
後手:羽生名人

▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角△5四歩▲5八飛

 

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闇を掛ける翼を操る芸術家が選んだのはラファエルの翼ね。ここはウリエルの翼も考えられるところだけど、今日の芸術家はこちらに用意があるということね。

(振り飛車党の久保九段が今回選択したのは中飛車でした。ここは向かい飛車もあるところでこちらも有力でしたが、今回は中飛車に久保九段の用意があったのでしょう)

△6二銀▲4八玉△4二玉▲3八玉△3四歩▲6八銀△3二玉▲2八玉△5二金右▲1六歩△5三銀▲1五歩△4四歩▲4六歩△4三金▲5七銀△3三角▲1八香

 

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途中で魔王は銀を繰り出す指し方(例えば第37期棋王戦挑戦者決定二番勝負 第2局
郷田真隆九段 対 広瀬章人七段
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/37/kiou201201060101.html)もあったけど、今回は互いの呼吸が調和して永き戦いへの備えを始めたの。
(急戦調の将棋も有力ですけど、今回は持久戦調に進みましたね!)


▲1八香で芸術家の作戦が明らかになったわ。
端を奪い、さらにノームの巣を築こうなんて強欲にすら見えるわ…でも実現出来れば魔力は桁違いよ。この指し方は菅井グリモワールの先手編にも記述があるわ。この指し方に魅了された人は封印を解いてみることをおすすめするわ。

(▲1八香で久保九段の作戦が分かりましたね。端を詰めた上で穴熊に組もうという作戦で、欲張っているようだけど上手くいけば凄く得ができますね。この指し方は『菅井ノート先手編』でも触れられているので、気になった人は読んでみましょう!)


△2二玉▲1九玉△3二銀▲2八銀△2四歩▲6六銀△6四歩▲5九金左△2三銀

 

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対する魔王は銀の宝冠を頂く魔城を気づいたわ。これは守護結界という意味だけではなく、反撃の狙いも秘めているの。

(羽生名人は銀冠を作りました。この銀冠は守りだけではなくて、位を取った穴熊を咎めるための反撃筋を見ています)

▲5五歩△3二金▲5四歩△同 銀▲4八金左△1四歩

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これがその仕掛けね。少し姿が違っても秘めたる狙いは同じ、一つの魔法式だと考えて良いわ。
(これがその仕掛けです。少し形が違っても狙いは同じなので、一つの定跡だと覚えておいていいでしょう)


▲同 歩△同 銀▲5五銀△同 銀▲同 飛△5四銀

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この銀は少し見えづらい気もするわ。普通はレギオンで収めたくなるもの。ノームを攻略するためにレギオンを二人持つこと、▲4五歩への備えと考えられるわ。

(この銀は少し見えづらいですね。普通は歩で収めたくなる気がします。穴熊を崩すために歩を二枚確保することと、▲4五歩への備えと考えられます)


▲5八飛△8六歩▲同 歩△1六歩▲4五歩△同 銀▲4二歩

 

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これは闇の翼で掛ける者達には参考になる術式ね。
金では飛車が第二形態になってしまうから角で取るしかないのだけど、王様の斜めが開いてしまうし、戦場に近く魔術に被弾しやすくなっているの。ここでは芸術家がポイントをあげたわね。

(これは振り飛車党の人には参考になる手筋ですね。金では飛車を成られてしまうので角で取るしかありませんが、玉のコビンが薄くなるし、角のあたりもきつくなります。ここでは久保九段がポイントをあげたと思います!)

…未来を思うと、この時4筋にこんなに駒があるのにも不思議を覚えるわね。

 (ずっと先の展開を知っていると、この時点で4筋にこんなに駒があるのは少し不思議な気がしますね…)


△同 角▲5二銀△2五銀!

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これは気がつかない手ね。一目で歪に見えるけれど、それに囚われることなく真実を見つめる魔王らしい一手よ。

(これは気がつかない銀ですね。一目は形が悪そうに見えますけど、先入観に囚われない羽生名人らしい一手です)


▲4三銀成△同 金▲5五金△5七歩▲同 飛△5六歩▲4七飛△3三角▲4五金△1七銀!

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▲4五金△同歩▲同飛は金の守り方が難しい。後手は△1七銀が切り札となる術式だから、どこかでこれを放ちたい。その組み合わせをどうするか……。
そう思っていたら、魔王はここでいきなり放ったわ。
運命は勇者に微笑むというけれど、本当に勇敢ね。

(▲4五金△同歩▲同飛は金の守り方が難しいです。後手は△1七銀が切り札なのでどこかでこれを打ちたいです。その組み合わせをどうするか……。そう思っていたら、羽生名人はここでいきなり△1七銀でした!運命は勇者に微笑むというけれど、本当に勇気のある踏み込みです!)

 

▲4四金△1八銀成▲同 玉△1七香▲同 桂△同歩成▲同 銀△4四金▲同 飛

△1七香成▲同 玉△4四角▲同 角△3三銀▲5三角成△2九飛

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この局面…先手はたくさんの魔術符を手にしているわ。対して後手の銀を頂く魔城は既に崩れてしまっている。後手玉が永劫の鎖に囚われてもおかしくないわ。

(この局面、先手はたくさんの駒を持っています。対して後手は銀冠が崩れてしまっています。後手玉に詰みがあってもおかしくないところです)

だけど……▲3一角△1一玉に▲1二歩と叩いた手を△同飛と王手で取られて逆に詰まされてしまうの。
飛車さえいなければ詰むのだけど、この一枚の守護によって魔王は玉は絶対に詰まないわ。
なんて恐ろしい…。

(しかし、▲3一角△1一玉に▲1二歩△同飛が逆王手で先手が詰まされてしまいます。
飛車がいなければ詰むのですけど、横利きが強く後手玉は絶対に詰まないようです。
なんて恐ろしい…。)

▲2八銀△1六桂▲1九金△2八桂成▲2九金△同成桂▲2八銀△4二金▲5一飛
△5三金▲3八金寄

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▲3八金寄は粘りの芸術家の裏の顔ね。エルサレムの鐘が鳴る時にこんな手を指されたら真結界が破れてしまうかもしれないわ。

(▲3八金寄は粘りのアーティストともいわれる久保九段らしい手ですね。秒読みでこんな手を指されたら混乱してしまうかもしれません)


△3五角▲1八玉△1七銀▲2九玉△1八金▲3九玉
△2八銀成▲同 金△同 金▲同 玉△1七銀▲3八玉△2八金▲4八玉
△4二飛▲5九玉△4九飛成▲同 玉△4八歩▲5九玉△6八金

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△3五角が決め手ね。全ての魔術符、これまで神殿にて祈りを捧げ続けていた飛車をここで使って作られた魂の牢獄。奇跡のような手順はまさに芸術…。これは実際に戦いの軌跡を自らの手で覗いて見て欲しいわね。

名局は一人の手で生まれるものではないの。魔王と芸術家、互いに死力を尽くして戦ったからこそこんな芸術的な詰みが顕現したの。だからこそ、私達は感動するし彼らの将棋をまた観たいと思うのかもしれないわ…。

 

(翻訳:輿水幸子)「どうしても分からないところはみりあさんに電話で聞きました」