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輿水幸子の第65期王将戦二次予選 松尾八段ー行方八段観戦記

 

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 フフーン!皆さんお待たせしました!ボクです!輿水幸子です!
今回はボクが観戦記を書かせていただきます!なーに、前二人のおかしな病気をこじらせた文章より、間違いなくカワイイ観戦記になること請け合いです♪

 それで、なんの対局を語っていけばいいんですか?

タイトル戦はもちろん挑戦者決定戦リーグにトーナメント、なんでもいけますよ!

え?第65期王将戦二次予選の松尾八段ー行方八段?
いつあったんでしたっけ、それ?…八月ですか。あ、そう。
いえ、構いません!横歩はボクの得意分野ですし、この将棋自体も面白かったですから、しっかり覚えていますよ!
そ、それじゃあ早速始めて行きましょう!
終盤が難しい将棋だから、ボクみたいに脳内盤持ってない人にはちょっとつらいかもしれないですけどね!

 

▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同 歩▲同 飛△8六歩▲同 歩△同 飛▲3四飛△3三角▲3六飛△8四飛▲2六飛△2二銀▲8七歩△5二玉▲5八玉△7二銀▲3八金△2三銀▲4八銀△2四飛

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作戦は横歩取り△8四飛、作戦は△2三銀からの飛車ぶつけ、ですね。
なに、その他の作戦もたくさんある?
ああ、それはボクからみなさんへの宿題なんですよ。
頑張って自分で調べて来て下さい!
観戦記書くだけじゃなくて課題まで与えるボク、優しすぎてカワイすぎですよね~
えっと、何の話でしたっけ。そう、この飛車ぶつけが発見されたことにより後手の攻め筋は大いに広がったんです!
▲同 飛△同 銀ときて、本譜の進行とは別に気になる変化がありますね。

《参考》▲8四飛の変化

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こんな風に飛車を打たれるのがこの形が出て来た当初は多かったようです。
これは▲8四飛以下△7四歩▲8二飛成△8八角成▲同 銀△5五角▲4六角△同 角▲同 歩△1四角となりますけど、これは先手面白くないと見る人が多いようです。
参考になるのは2014年9月8日 挑戦者決定三番勝負 第3局 羽生善治名人 対 糸谷哲郎六段|第27期竜王戦ですかね。その中の感想戦で触れられていたこの局面が一つのテーマです。

課題局面《プロの中でもまだ課題局面なのかは知りませんよ。チェッ!》

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どう思われます?ボク個人としては後手を持ちたいですけど、他のアイドルに聞けば違う答が返ってくるかもしれません。そういうわけで▲8四飛打は結構煮詰まってる感じなっていて、先手も他の手段で良くなろうと模索しているわけですね。

 

さて、実戦で指されたのは▲8六歩です。

 

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これは豊島七段が公式戦で最初に指した一手です。豊島新手ですね。
うーん、ボクもいずれ幸子新手を発表したいですね!幸子新手はきっと一つの戦型に結論を出してしまうでしょう!
そうなったらもう幸子新手どころか幸子定跡、輿水システムも……え、関係ない話はいいから本題に?ああ、そうですか。
えっと、これはそのまま▲8五歩~▲8四歩~▲8三歩成と伸ばして行くのが狙いですね。さて後手はどうような対応をするでしょうか?

△8八角成▲同 銀△3三銀▲8五歩△4四角▲6六歩△同 角▲8四歩

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△4四角は定跡で、△8八角成から△7九飛を狙っています。
対して▲6六歩は△同角と取らせることで玉を広くし、▲6四歩と打てるようにしてあります。ちなみにここも後手に選択肢があって、△8八角成を選んだ将棋(第41期棋王戦挑戦者決定トーナメント広瀬-佐藤天)もありますので確認しておいてください。これもボクからの宿題です!
何せ先手が8筋を伸ばす作戦は優秀で、かなり星を稼いでいるのですけど、天彦八段だけが後手を持って全勝というおかしなことをしているのですよ。
つまり後手が天彦さん以外の時は先手が全勝だけど、天彦さんが後手だったら先手が全敗なんです。
恐ろしいというかなんというか……。天彦さんの横歩は、研究が深く実力が強いというだけでは説明のつかない凄まじい何かを感じずにはいられませんね。

 

さて、今回行方八段が選んだのは△8七歩でした。
以下▲7七銀△同角成▲同 桂△8九飛▲5九飛△8八歩成▲8九飛△7八と▲8五飛△7七と▲8三歩成△2六桂▲7二と△3八桂成▲4六歩
お互い遮二無二攻め合って、ここの局面。

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最後の▲4六歩、どう思いますか?△6八金の一手詰を受けるために脱出口を開けただけのように見えますよね。
ふふーん!違うんですよ。
△4九金▲6二飛△同 金▲同 と△同 玉▲8二飛成△7二銀▲7一角△5一玉▲5二金△同 玉▲7二龍△4一玉▲6一龍△5一金▲5二角△3一玉▲5一龍△2二玉▲2三銀△同 玉▲2一龍△2二金打▲2四歩△同 玉▲2五歩△2三玉▲2四銀△同 銀▲同 歩△3三玉▲3四銀△同 玉▲2六桂△3五玉▲3六金△4四玉▲4五金△3三玉▲3四金△4二玉▲4一龍で、後手玉が詰むのですよ。
つまりこの▲4六歩は実に40手以上の詰みを見た詰めろの逃れの詰めろになっているんです! 



恐ろしいことに両対局者は▲4六歩を「九割方は詰めろ」と判断していたそうです。
プロは流石ですねえ。つまり後手の行方八段もこの局面自体は折り込み済みであり、誤算はこの少し後にあったようです。

△7二金▲8一飛成△7一金打▲9一龍

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この局面に行方八段に誤算があったようです。
例えば△4九銀▲4七玉△4八成桂▲同玉△3八銀打には▲3六角が▲6四桂△同 歩▲6三銀△4二玉▲5二飛△3一玉▲7一龍△同 金▲3二飛成△同 玉▲2三金△同 玉▲2五香△2四金▲4一角△3二歩▲3五桂△1四玉▲3二角成△2三歩▲2四香△2五金▲2三馬△1五玉▲1六金△同 金▲2五金までのこれまた長い詰めろ逃れの詰めろになって後手の負けです。
 



そういうわけで後手は△8二銀▲9二龍△9一金と無理矢理竜を捕まえにいきました。
一方先手は▲2三銀△同 金▲3一飛△9二金▲4一角△6二玉▲5一角△6一玉と王手を利かしながら後手玉を追っていきます。

 

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 手順中の▲3一飛は▲4一角△6二玉▲5一角△6一玉▲6二歩△同金寄▲同角成△同 金▲5二角成△同 玉▲7一金までの詰めろだったので、△9二金は詰めろ逃れです。以下なんで▲4一角と王手を利かしなら攻めたかというと、先ほど竜を取った△9二金は△6八飛▲4七玉△4八飛成▲3六玉△3五銀▲同 玉△3四金▲2六玉△2五銀▲1五玉△1四歩までの詰めろになっているからです!   



つまりこの△9二金も詰めろ逃れの詰めろだったんですね!

さてこんな局面での次の一手は…!

▲2三角成

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これは▲3三角成△6二玉▲5一龍まで詰めろであると同時に、2三の地点に馬が来ることで△6八飛からの詰み筋を消しています。
またまた詰めろ逃れの詰めろです!
それでも後手は詰ましにいきますが……

△6八飛▲4七玉△4八飛成▲3六玉△3七成桂▲同 桂△3五歩▲2七玉△2六銀▲同 玉△4六龍▲2七玉△2六歩▲1六玉△2七銀▲2五玉△3六銀不成▲1六玉△2七銀不成▲2五玉まで松尾八段の勝ち。



壮絶な詰めろ逃れの詰めろ合戦の幕引きは連続王手の千日手の禁手で、これで先手玉は詰みを逃れています。
ちなみに▲2五玉のところを▲1五玉とするとこれは頓死します。



6一の玉まで使ってこれもまた凄まじい詰み上がりですねえ。

と、以上です。この将棋は王将戦二次予選であまり注目の集まる対局ではなかったですけど、物凄い終盤の戦いが行われ、観ていて非常に手に汗握るものがありました。
難解かつぎりぎりの攻防に将棋の面白さが実によく現れた一局だったと思います!


さ、棋譜の解説は終わりましたね♪
それではこれから残ったスペースでボクの将棋のカワイさについて存分に語って……え、もう終わりですか?ええー、もうちょっと何とかならないんですか?
カワイイボクが将棋を語るんですよ?
ハイハイ、分かりましたよ。
まだ物足りないけど今日の観戦記はこれでおわりです。
またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました!

輿水幸子