新春!安部菜々の名人戦観戦記

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明けましておめでとうございます!
歌って踊れて将棋も指せる!ナナがウサミン星からやってきました!きゃは☆
栄えある2016年1月1日、ナナは蘭子ちゃんから電波を受信したのです!ピピッ!
ふむふむ…今度はナナに観戦記を書いて欲しい…?
お任せください!
ウサミンパワーで名局のお年玉です!
さあ、いきますよ!

 


第49期名人戦七番勝負第4局

米長邦雄九段」vs「中原 誠名人」

先手:米長邦雄
後手:中原誠

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀

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はい!と、いうわけで今回ナナが紹介するのは第49期名人戦七番勝負第4局 米長邦雄九段vs中原誠名人戦です!
今はもう見られないカードですけど、米長永世棋聖の粘り腰や中原永世名人の自然流の攻めも、実に魅力的なんですよねぇ。
ナナ、中原名人の将棋のことなら一晩中語り明かせますよ!
っと、戦型ですね!▲7六歩△8四歩▲6八銀…ときたら、そう!矢倉です!
五手目は▲7七銀ですね。今は▲6六歩の方が多いですか。
急戦への備えとして一長一短あるのですけど、居角左美濃なんかが流行ったら2016年は▲7七銀が増えることもあるかもしれません。

△6二銀▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右 △3二金▲6六歩 △4一玉 ▲6七金 △5二金 ▲7八金 △3三銀▲6九玉 △3一角 ▲7九角 △4四歩 ▲3六歩 △4三金右▲6八角

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先手の作戦は森下システムです!この頃は流行っていたんですよ。
通常の矢倉は先手が先に態度を決めて後手がそれに対応するというものですけど、森下システムはその順序を逆にするということに特徴があります。
でもあまりに早く囲ってしまうので後手雀刺しに対策されて、今ではすっかり姿を消してしまいました。
うーん、ナナは森下システム、好きなんですけどねえ。

△7四歩 ▲7九玉 △6四角 ▲3七桂 △3一玉▲8八玉 △2二玉 ▲2六歩 △8五歩 ▲3八飛 △5三銀▲4六歩 △5五歩

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そういうわけで後手から仕掛けます。
この将棋は雀刺しではなく中央から戦いが始まっていますね。ウサミン星でも雀刺し以外の対策も盛んに指されています!
他に何の将棋が流行っているかですか?
うーん、塚田スペシャルなんかはなかなかホットですね!
今度蘭子ちゃんにも教えてあげましょう!

▲4七銀 △5六歩 ▲同 銀 △5四銀▲1六歩 △5五歩 ▲6五銀 △同 銀 ▲同 歩 △7三角▲2五桂 △2四銀 ▲1五歩 △5六銀 ▲6六金 △4七銀不成▲3七飛 △5六銀成 ▲6七銀 △8四角

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中央で始まった戦いから、お互いに銀を打ち合って、ここからの手順に刮目してください!

▲4五歩 △同 歩▲1四歩 △同 歩 ▲1三歩 △同 香 ▲9六歩!

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▲4五歩で角筋を通して、▲1四歩で端に手をつけて、▲1三歩で香を吊り上げて……ここまでやっておいてじっと▲9六歩!現在でいう羽生名人を想起させるような絶妙の手渡しです。
どうですか?この呼吸感!ウサミンパワーでカラフルメイドにメルヘンチェンジ!……すると思った瞬間にふと我に帰ったみたいな!
いや、ナナはウサミン星人なので我に帰ってもウサミン星人のままですけど!

 

△6七成銀▲同 飛 △5八銀 ▲1七飛 △6九銀不成▲6七銀 △7八銀成▲同 銀 △5八金 ▲7九角 △6六角 ▲同 銀 △6八金打▲7七銀打 △7九金 ▲同 玉 △8六歩 ▲同 歩 △8五歩▲4四歩 △4二金引 ▲8五歩 △2五銀 ▲同 歩 △8六歩

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攻めさせるための手渡しとはいえ攻めているのは中原名人!
攻めの破壊力でいうと将棋の歴史の中でもトップクラスです。実際結構怖いですよね。今の目で見たら受けすぎてるような気がしないでもないような。
途中で角打ったりしたらどうなっていたんでしょう?
といったところで桂をむしり取って△8六歩!▲同銀は△6八角で王手銀です。
先手はどう受けるでしょうか?

▲8八玉 △7三桂 ▲8四歩

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▲8八玉 ~▲8四歩が力強い受けですね!
△同飛は▲9五角△8三飛▲8四歩から▲8六角と玉頭の歩を払えます!
以降この筋がネックになって飛車の働きが封じられてしまっていますね。

△2六角 ▲2四歩 △5九角成▲2三歩成 △同 玉 ▲2四歩 △2二玉 ▲3七角 △同 馬▲同 飛 △8七桂 ▲8六銀 △7九桂成 ▲8七銀 △6八金▲7七銀右 △5六角 ▲6八銀 △8九角成 ▲9七玉

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△5九角成では△1七飛成の方がよかったかもしれませんね。そうだと例えば△1七角成▲3七角△5四桂▲5五角…んー、これでも角の働きで先手が良さそうですか。
ともあれ縦の攻めが利かなくなってしまったので仕方なく横から先手玉を追いかけますけど、▲9七玉がまさに米長流!といった感じの凌ぎです!

△7八成桂▲同 銀 △同 馬 ▲7九金 △8八銀 ▲同 金 △6八馬

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と、ここまでくればはっきり受けきっています。米長さんはしっかり見切った上で▲9七玉を指しているわけですから当然ですけどね!

▲2三銀 △同 金 ▲同歩成 △同 玉 ▲2四歩 △同 玉
▲2五歩 △3三玉 ▲2四金 △3二玉 ▲2三角 △3一玉
▲4三桂 △同 金 ▲同歩成 △8五桂打 ▲9八玉 △9七銀
▲同 飛 △同桂成 ▲同 銀 まで先手米長九段の勝ち。

以下、▲2三銀から必死をかけて先手の勝ちです!
この名人戦は1-4で米長先生が敗退してしまうのですけど、この一局は米長将棋の良いところが存分に出た名局だったと思います!
2013年の将棋世界五月号の『突き抜ける!現代将棋』でも米長先生の将棋が特集されています。この将棋についても触れられているので興味のある方はバックナンバーを探してみるといいかもしれません!

いかがでしたでしょうか?
この将棋は是非とも盤で並べて欲しい名局で……えっ?
対局のチョイスが古い?
いやいやいやいや、そんなことはないですよ!
名局の価値は永遠ですから!!そう、ナナが永遠の十七歳であるように!!
…………。
ビビッ!あ、ウサミン星からの電波を受信しました!
ど、どうやら帰還指令のようですね!
ナナはもうウサミン星に帰らないといけないようです!
まあウサミン星まで電車で一じか……じゃなくて、名残惜しいですけど、もうお別れのようですね!いやあ残念です!
それでは皆様、よいお年を!

安部菜々